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『ハルビン・カフェ』(打海文三)~めくるめく陰謀のタペストリー

今回は書評というわけではありませんが、タイトルの本を読んでいないとあまりよくわからない作りになっています。しかし読んでいてもよくわからないので、本を読む前にこの文章を読んでいいかどうかはお任せします。

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庭におく猫の罠を作っていると、古い友人が訪ねてきた。
「よお、久しぶり」
だが男の顔に笑みはない。ダークスーツ、どうやら仕事らしい。おかげで俺の笑顔は行方不明になった。
「休日を楽しんでいるところ申し訳ない。人を探してる」
差し出された写真はかなり古い。
「これに十ばかり歳を取らせてくれ」
望遠で撮ってあるせいか、すべてはぼんやりしている。それでも駱駝色のジャケットを着た痩せた男の横顔が見える。無精ひげが少し伸びているようだ。

「こいつ、何をしたんだ」
「そうだな、愉快な革命、とでも言っておこうか」
「名前は?」
男の顔がふっと緩んだ。
「この男にとって名前なんてないようなものだ」
「それでも記憶を探る俺にとっては名前は必要だ」
「そうだな……布施隆三、が一番通りがいいかな」
「聞かない名だ」
「そうだろうな」
「見たこともない顔だ」
「そうか」
言葉ほど落胆しているようには見えなかった。

男はぐるっと庭を見渡し後で、俺の手元を見て言った。
「何を作ってるんだ」
「罠だよ」
「何を捕まえるんだ」
「古い友人を捕まえる罠さ」

乾いた笑いを残して男は振り返り、来た道を戻っていった。
小久保はそうやって、今でも時々布施を探しに街を歩いているらしいと水門さんから聞いた。
「あなたのところにも来るでしょ」
「まだ小久保と付き合ってるのか」
水門さんはニコリともしないで答えない。
そろそろあの駱駝色のジャケットを処分する頃合いだろうか。

縁台で罠の出来栄えを見ていると、使うのがもったいない気がしてくる。
猫を捕まえたなら、家で飼うのいいかもしれない。名前はそうだな、ハルビンとでもつけようか。


※本文は『ハルビン・カフェ』(打海文三)とは全く関係ありません。

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コメント

No title

 えええ?
これ、JGさんが書いたオリジナルですか!
(あまり細かい描写は覚えていませんが、こんなシーンはなかったような)

 すご。今すぐ チャンドラーとかのオマージュが書けそうですね。


 
 打海文三さんほど「みるみる上手になった」作家はいないのではないかと思います。
 デビュー作から追っていましたが、最初は 「いい人揃い」の探偵を書いていた。
 その独特の文体が魅力だったのですが、いきなりハルビンカフェで ハードボイルドに。

※今 ふと思ったのですが、
ジャーナルギャップ→JG  となるネームは女子学院愛でしょうか。

いま明かされる名前の由来

へへへ、オリジナルです。
昔とある社内誌に、何でもチャンドラーみたいに書くという連載を持ってました。
たとえば料理をしていたら電子レンジが壊れた時のチャンドラー、みたいな。

俺のJGは女子学院とは全く関係なく、女房の読んでいた雑誌に出ていたファッションブランドを2つ頂戴しただけです。
まあ、ジャーナルな視点でギャップを語ろう、というようなコンセプトはあったのですが。

No title

雑談を書いてもいいでしょうか。 本当に個人的な雑談です。

 ゴルフに行って 怪我をした。(今日の午前中)
急坂を登っていたら 突然 左 ふくらはぎに激痛が走り、 リタイヤ。
(長いことゴルフやっているが 「自分のせいで 途中リタイヤ」は 初めての経験だ)

 整形外科に行ったら「肉離れですね。痛みが取れるまで 1~2週間」だそうだ。

 オラ、こういう種類の怪我がないことが自慢だった。スキー行っても怪我なんてしたことがない。
 「自分だけは大丈夫(根拠なし)」だったのに・・・

 痛い。歩くのも困難。
 
 でこういう状況になって思うこと。
◯洋式トイレは ありがたい。 これが和式だったら悲劇だ
◯できることは「ネット見る」「録画見る」「本を読む」「ビール飲む」
 このままだったら 間違いなくアル中になるだろう


※アホ息子曰く「坂を登っていて 肉離れ? ダサっ」 だってさ
 オラだって そう思うよ。 しかし 年齢には勝てないってことだ。
 介護する覚悟だけはしとけ。

理想的なケガ

災難でしたね。ご自愛ください。

> ◯できることは「ネット見る」「録画見る」「本を読む」「ビール飲む」
>  このままだったら 間違いなくアル中になるだろう

うーん、理想的じゃないですか!
確かハルビンカフェさんは在宅OKですよね。
もう俺ならずっとベッドに寝転んで、ネットしたりTV見たりミステリ読んだり、で、日が暮れるまでは珈琲。日が沈んだらビールで勢いをつけつつ、ウヰスキーあたりをちびちび。

考えれば考えるほど理想的じゃないですか!

No title

ありがとうございます。
ま、ゴルフ行って怪我したっていうんで、家族は冷たいもんです。
「遊んで来たくせに何言ってのんよ」って感じ・

>で、日が暮れるまでは珈琲。

 これができる人はアル中にはならないんですよね、きっと。 私は・・・自信がないにゃあ

朝は珈琲から始まる

俺、珈琲中毒の可能性もあるんですよ。
1日7~8杯は飲んでますね。

No title

会社に「今日は休みます」と連絡した。
さすがに「ゴルフで」とは言いずらかったので、
「子供と遊んでいて」を嘘を言った。

 大人も子供も、人間とは嘘を言う生き物なのである。

No title

「歩ける幸せ」は歩けなくならないとわからない。
これを「想像力の欠如」という。

「生きる幸せ」もきっと一回死んで見ないと本当には
わからないんだろうにゃ。

今日は 会社まで歩いて行けた。

No title

 書く場所がないのでここに殴り書き。

大学の体育会系ってなんか歪に感じます。
なんというか・・・

「日本を代表する(給料の高い)企業に入ろう」と
思うと、一流大学行くのが一番手っ取り早いわけです。学歴と +語学力や専門知識を身につけて就職する。

 で、日本の場合、もう一つ道があって、「体育会系で全国レベルでした」みたいな学生も優遇される。企業によっては ナヨナヨした早稲田より日大アメフト部を採用する、みたいな所もあるでしょう。
「あの厳しいアメフト部で4年間頑張ったんだ。根性あるね」みたいな感じ。
 その、「就職に有利」というのが歪だと思うんです。少しくらい理不尽でもやめられない。人生がかかってますからね。

 私は大企業の人事にいたことがないのでなんとも言えませんが・・
「いや違う。 大学体育会系ってのは本当に企業にとって有用なんだよ」なのかもしれません。

※あ、何が言いたいかよくわかんないですね。
「何か一つを一生懸命やる」というのはいいことです。それがスポーツでも芸術でも。
 一芸に秀でた人はもちろん就職にも強い。それは理解できる。好きでやる分には何も問題ない。

 ただ、なんか・・・
「学生は就職有利を知っていて体育会系で頑張る(というより「耐える」)」
「大学はそれを知っていて理不尽な指導も許されると思っている」
 みたいな関係が歪なんだと思います。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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