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『中学受験』(横田増生)の感想3~誰かが「楽園がここにある」とでも言ったのか?

今回はイジメの話。
著者・横田増生は私立だからと言ってイジメがないわけではない、と書く。
そしてそのいくつかの具体例を、取材の中から紹介している。

ここまではいい。ケチのつけようがない。
ただ横田氏には悪いが、中学受験をする人で「私立にはイジメがない」と思っている人は少数派だと思う。
ほとんどの人は「私立だってイジメがある」と思っているが、「公立よりは少ないだろう」というような認識だろう。
ところが横田氏の論調は「中学受験させる人は私立にはイジメがないって思ってそう」というのが基本線になっている。
そもそも章のタイトルからして「私立中高一貫校は“夢の楽園”なのか」だからね。
そもそも誰が私立中高一貫校を“夢の楽園”だと思っているのか?
中学受験の保護者と生徒を少し馬鹿にしすぎじゃないかね?

横田氏は「私立は教育委員会の管轄ではない」と書く。これは本当だ。そして「だから公立と違って私立のイジメに対して行政は何もしてくれない」と書く。
ここがおかしい。
まるで教育委員会なら何かしてくれそうな文脈だが、もし本当に教育委員会がその通り動いてくれているなら、これだけイジメって問題になっているかな?

無論教育委員会だってしっかり仕事をしてくれることもあるだろう。というか大半はそうなわけだ。
そして私立学校だって、同じように大半はしっかり対応しているのだ。
それでも本書にあるような、私立において教師によってイジメが拡大するような事件がある。
しかしそれは公立だって同じだ。「中野富士見中学いじめ自殺事件」のような、あるいは「福岡三輪中2いじめ自殺事件」のような、凄惨な「教師によるイジメ事件」。
こうした事件を横田氏が知らないわけがない。それなのにこんなことをしれっと書いてくる。

私立学校と公立学校のいじめに対する対応の一番の違いは、公立の場合、大津市立の中学のいじめによる自殺でもわかるように、教育委員会には学校内で起こったことを調査する権限がある。その教育委員会を管轄するのは文科省である。
(中略)
そうした構造的な違いから、私立でいじめが起こった場合は、公立より解決のための対応が難しい、と指摘するのは<NPO法人全国いじめ被害者の会>(大分県佐伯市)の大澤秀明代表(69)である。


本当にそうだろうか?
この辺り、次回もう少し掘り下げて書いてみよう。

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コメント

公立中の構造的問題

私が以前、某有名教育サイトで書き込んだ、”公立中の構造的問題点”は以下の通りです。

・いじめがあっても基本的に退学はさせられない。刑事事件に相当し、かつ検察と家裁が少年院へ送致すべしと判断しなければ、学校にそのまま留まる。
・教員の身分保証が強く、校長の権限が弱い。こちらも刑事事件に相当するような事件とか、無断欠勤が長期化するとかでなければ、免職には出来ない。問題教師はたらい回しにされ、どこかの公立学校に再び赴任する。
・私立の場合は競争原理が働くので、HP、学校説明会、文化祭などで学校に関する情報開示を積極的に行っており、事前に善し悪しを判断する材料が多くあるが、公立の場合は、競争原理が働かず、情報開示は無いか、あっても極めて限定的なので、事前に善し悪しを判断する材料が乏しい。
・私立の場合は、通える範囲内で選択が可能だが、公立は基本的に居住地域で行き先が決まるので、その公立が良くないと判断した場合は転居が必要になる。

仮にも教育に関する本を著すのであれば、せめて上記の問題点くらいには納得のいくコメントが出来るレベルにあって欲しいのですが、この横田氏には全く無理そうですね。

Re: 公立中の構造的問題

> 仮にも教育に関する本を著すのであれば、せめて上記の問題点くらいには納得のいくコメントが出来るレベルにあって欲しいのですが、この横田氏には全く無理そうですね。

何となくだけど、この本って結論ありきでどんどん進んじゃった気がするんだよね。
だから本来ならば対比すべき情報がすっぽりと抜け落ちている。

ハルビンカフェさんが以前書きこんでたけど、
> この本を読んでやめるくらいなら 本当にやめた方がいい。やらなくてよかった。という意味でいい本です。
というゼロ選抜のための本かな。
しかし、この本を読んで中学受験やめる人なんているのかな?

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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