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『中学受験』(横田増生)の感想2~「中学受験なんかしたから、あんなことになったんだ」って言いたいの?

さて『中学受験』(横田増生)のまとめの続き。

【エピソード2】
千葉県に住む高木さんの場合。二女一男。父親の稼ぎは年収800万~900万(鉄道関係)。
高木家は長女が国立大附小。中学まで持ち上がりだが、男子と一緒は嫌と言って、中学受験することに。
うまいこと女子の中高一貫に合格できたが、お金がかかるというので母親はパートを辞め、社員として働くことに。
一番下の長男は保育園の延長保育に預けることにしたが、長男が最近暴力的になってきたという。
保育園の先生からは、フルタイムで働くようになった環境の変化も原因としてあるのでは、と言われている。
長女の卒業まであと5年間、母親はどうすべきかと悩んでいる。

これは悩むべきでしょうね。
旦那や、時には子供たちも含めて、「高木家にとって」よりより解決策を考えるべきでしょう。
まさかと思うが、このエピソードをもって、「中学受験は金がかかるよ、考え直した方がいいよ」と著者の横田氏は言おうとしてるわけではあるまい。

ところが、そう言おうとしてるのがすごいぞ、横田。
このあと著者はベネッセの統計を持ち出してくる。ところがこの統計は、中学受験させようとしている家庭の世帯年収の調査で、中学受験をするとどれくらいの費用が掛かるか、という数字ではない。
中学受験の費用に関してはフィナンシャルプランナー(笑)畠中雅子氏が、とうとうと数字を出してくれている。
で、パートをするなり社員になるなりしてお金が間に合っても、子供が暴力的になった先祖返りした無口になった雄弁になった明るくなった暗くなった、そんなことが起こりますよ、それで保育園の先生に「環境の変化も原因としてあるのでは」なんて言われますよ。
挙句にこんなことを書いてよこす。
「無理をして手を伸ばそうとすれば、その教育費の負担のため、老後を含めた家計が逼迫することになる。」(本書P10)

しかし、このエピソードの肝はそこじゃない。
人はそれぞれのタイミングで、これが一番いいと思って様々な決断をする。
たとえば長女を国立大附小に入れたこと、中学受験したこと、パートを辞めて正社員として働き始めたこと。
もっと言うなら、子供を3人作ったこと、今の旦那と結婚したこと、その前に、優しいけれど経済力のない彼氏と別れたこと。最後は俺の想像だが。

こうした多くの決断は、時として問題を起こしてしまうこともある。
重要なのはその問題の原因となった決断の是非を論じるのではなく、その問題に対してどう対処していくか、だ。
たとえば「中学受験したのが失敗だった」として、もし中学受験をしなかったならどうなったのか。
ことによると長男の暴力的な行動は起こらなかったかもしれない。

しかし長女はどうなったろう?
「男子と一緒に勉強するのは嫌だ」と訴えたものの、「お金が足りなくなるから」と言われ断念することになったら、長女の行動や心の中はどのようになっただろう。
「まあしょうがないな」と思ったかもしれない。「もしかしたら素敵な男子と巡り合えるかも」と思ったかもしれない。
だが普通に考えれば、「家族に対する不信感」が彼女を覆ったとしても、何ら不思議はない。

高木家はいま、家族5人でこの難局を打開しなくてはいけない。
それは「中学受験は金がかかるよ」などという、一般的な警句に寄りかかって解決できる問題ではない。
特に保護者たる父親と母親は、今までの経験や度量をもちいて、長女、長男、そしてここでは語られていないが次女のケアを中心に、家庭運営をより安定させなくてはならない。

そして時には、「ほら、中学受験なんかしたから、あんなことになったんだ」という外からの嵐と戦うことがあるかも知れない。
本書(『中学受験』)のスタンスは、まさしくその嵐だ。

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コメント

No title

 この本は、取材の声やいろんなデータを「中学受験批判」になるように抜粋する、あるいは加工する。例えば公立中と私立中高一貫の費用の差とかが提示されていましたが、そのデータには、「公立に行って高校受験のための塾に行く費用、公立高校に行って大学受験の塾に行く費用」が無視されている(と思ったのを覚えています)。

 実際には例えば千葉では、公立高校受験に「中1〜中3の内申点全て」が関係するため、教育熱心な家では中学入学と同時に塾に行く人が普通にいる。我が家もおそらく公立行ったら、すぐ塾に行かせた。
「そんなの私立に行ったって塾には行くだろう」という意見もあるかもしれませんが、少なくともうちは中学校の間は、よほど落ちこぼれない限り塾には行かせるつもりはない。 塾に行く費用を考えたらそこまでは違わないんじゃないの?と思った。
 
 というように、一つ一つ「なるほど」「いや 違うんじゃないの」と考えながら読むといい本です。

No title

あ、つまり言いたいことは
この本は多少の誇張はあるかもしれませんが
この本を読んで「それでも 中学受験する」くらいの覚悟と家族の主体的判断が必要だと私は思います。

 この本を読んでやめるくらいなら 本当にやめた方がいい。やらなくてよかった。という意味でいい本です。

No title

FPの手口も同じです。
”長生きリスク”で人を不安がらせる時には、高齢者に対する様々な公的扶助のベネフィットは除外して話をしますし、”死亡保険”を勧める時には、その人が生きていたら使うであろうお金の事は除外して話をします。
しかし、長男が暴力的になった事を、母親が正社員になったことで接する時間が少なくなった事と結びつけようとするとは、FPどころか、人の不安につけ込んで高価な壺を売る手口と何ら変わりが有りません。”お母さんがお子さんと接する時間を減らした事の祟りです”と言いたいのでしょうが、そもそもそういうお年頃なのか、地の性格が出てきただけの話でしょう。
例の教育サイトには、中学受験の弊害について繰り返しスレッドを立ち上げては毎回綺麗に論破される奇特な方が居ますから、何度か覗いているうちに自然と免疫が出来ます。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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