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今村昌弘「屍人荘の殺人」~ゾンビの中での殺人

今村昌弘「屍人荘の殺人」を読了。

ゾンビに囲まれたペンションに立てこもる人間たち。
ただでさえ超非常事態なのに、ああ、そんな時だというのに、人間たちの中で殺人が起きる。
それも一見するとゾンビによる殺人に見えるが、どうやって脳死したゾンビが密室殺人なんてできたのか?
犯人は人間なの?ゾンビなの? というか、こんな状況で殺人を犯す意味ってなんだ?

実は至ってオーソドックスなミステリです。
山口雅也「生ける屍の死」のような、ゾンビトリックもございません。
でも、まあ面白いです。
こうしたロジカルな青春ミステリと言うのは……と、ここで俺は思ったのさ。
これは有栖川有栖「月光ゲーム」の本歌取りじゃないか、と。

「月光ゲーム」も噴火によって孤立したキャンプ場というクローズドサークルを舞台にした、ロジカルな青春ミステリ。
……だったよな、いかんなあ、最近記憶力が…というわけで再読。
ああ、そうだった、こうだった、などと読んでいくうちに、グッときた。
重要な内容に触れてしまうので、読みたくない人は*****のラインの中を読まないように。

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主人公は登場人物の一人に心を寄せる。
彼女も満更ではないようで、主人公のボルテージは上がっていく。
その結果、彼女をかばって証拠隠滅までしてしまう。
事件の後、「大阪に帰ってから会いたい」という主人公に
「悪いけどあかんわ。私、待ってる人がいてるから」

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初読時(俺まだ十代)、「ええ!?恋人がいるのに、あんなに気を持たせてたのか!?」と驚き半分、主人公への同情半分だったが、40もとうに過ぎると、まあこういうことってあるよな、と苦みを舌の上で転がすようになる。
で、こうした「苦み」が今村昌弘「屍人荘の殺人」にはある。
最終盤、探偵が放つひと言。「あげない。彼は、私のワトソンだ」
苦いなあ。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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