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あの名物教授との再会

池谷裕二という東大薬学部の教授のコラム(「パテカトルの万能薬」週刊朝日2020.5.8-15)を読んでいたところ、次のような面白い実験に目を奪われた。

ロボット

エール大学のある教授が、人間とロボットが共同作業でパズルを解く様子を観察した研究を行った。
作業には3種類のロボットが用意された。
1.作業を振り返り、反省コメントを述べるロボット
2.無駄口を叩くロボット
3.黙っているロボット
最も好成績を残したグループは1のロボットのチームではなく、2のロボットのチームだった。

面白いですねえ。
何が面白いって、こんなの2が好成績を残すのは明白でしょ。
それを「意外」なんて言っちゃうあたり、東大だろうとエール大だろうと、教授というのは仕事がわかっていない。というか、人間がわかっていない。

そもそも2のロボットは、「自分の過去のウソ逸話を話したり、下手な冗談を言ったりと、少し出来の悪い発言が特徴」という設定らしい。
こんなロボットがチームにいたら、チームの士気は高まり、みんな自由に発言して、前向きに頑張れるに決まってる。

かつてとある企業の人事と話した時に、「採用したいかどうかは最初の数分で気がつく」と言ってた。
「この人と一緒に仕事をしたいかどうか」がカギだという意味らしいが、その時は「ふうん」と軽く受け流していた。
しかし今ならその意味がよくわかる。

池谷教授曰く、社会的触媒たる人間というのは、自分がチームに馴染むのはもちろん、誠意を尽くしてメンバーがベストを出せるように工夫したり、全員の集中力を維持したりと、細かな目配りが必要であり、人間ならではの作業だと考えられてきた。
しかしこの研究により、「役立つロボット」について予想外な道筋を示しているのではないか。

なるほど、ロボットを社会的触媒にするというのは、いい考えかもしれない。
しかしそうなると、人間しかできない仕事というのがどんどん少なくなるなあ。

さて、この研究を進めているエール大学の教授とは、あのクリスタキス教授です。
「肥満も禁煙も幸福も伝染する」「男子校出身者は早死にする」のニコラス・クリスタキス教授です。
いやあ、ご健在のようで安心しましたよ。

それにしても相変わらず「結論ありき」な研究、お忙しそうですな。
教授は初めからわかってたんでしょ、2のロボットが一番好成績を残すだろうって。
「コミュニケーションで大抵のことは解決できる」って言いたいってこと、みんなにバレてますからね(笑)

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コメント

No title

我が職場に置き換えてみる。リーダー1号は1になる。もっとも、本人の自覚は2のようだが、あの圧力感は間違いなく1だ。で、何も言えない3の空気が漂う。
そこへ、ゆるーい自分が加わり、2に近づく努力をしている。時に、リーダー1号をいじりながら。

今朝の電車、混んできた。そんな中、咳と鼻水ジュルジュはやめてほしい。

No title

 ロボットに「反省しろ」「仕事の仕方を変えろ」と言われるのは嫌だなあ。 

 人間ならいいのか? 人間でも嫌だなあ。

 AIならいいのか? それも嫌だなあ。

そっか、そもそも反省したくないんだ。オラは。

2のロボット

2のロボットならさしずめ、

ハルビンちゃん、下手うったそうやないか。ワハハハ、うまくいかんかったのう。
ワシも二十歳の時に仰山アニキを怒らせて、シベリアまで逃げたわ。
ワハハハ、ロボットに二十歳も還暦もあらんがな、ワハハハ。

などと「反省のさせ方」としても「なだめ方」としても随分と間違った方法をとってくれるはずです。

でも現実にこんなロボットがいたら、うざいので3発ぐらい蹴飛ばすと思います。

No title

>別学VS共学なんて話題で掲示板が盛り上がるのは平和であることの証拠ですよね。失って初めてわかるありがたさ。。。

緊急事態宣言が解除され、テレワークの人も減り、アクセスが鈍ってきたせいか、某教育風サイトでも別学VS共学のスレがまた盛り上がってきているようですね。

ミネアポリスの暴動と比べると、いかに平和でのどかで洗練された争い(銃を乱射するわけでも、略奪、放火するわけでもなく、自分の意見を補強する論文が掲載された雑誌のIFの大小でマウントをとってるいる)なのだろうと思ってしまいますw

No title

 インパクトファクターって言葉を初めて聞いたのは20年くらい前だったでしょうか。

 文科省の博士大量生産政策。
 「特任」の増加。(特任とつくのは 研究プロジェクトなど研究予算に応じて雇用される研究員だと理解しています。つまり終身雇用ではないってことね)

 度々報じられる研究不正。目先のIF追い求め・・。
 成果重視。「役に立つ」研究重視。

 全部関係あるようで、でも因果なのか相関なのか・・・

 やな時代になったものです。

>しかしこの研究により、「役立つロボット」について予想外な道筋を示しているのではないか。

昨年だったか、いろんな業界におけるAIの活用についての講演を聞きました。
工場での組み立て作業について、作業効率がよい(1プロセス当たりの所要時間が短い)労働者の体の動きをAIが分析し、その結果を作業効率の劣る労働者の教育訓練等に活用して、生産性を上げるのだと。

ある意味で人間はロボット化し、またある意味でロボットが人間化する未来が透けて見えるようです。

かつて麻布中学の入試問題ではドラえもんが生物と認められない理由が問われましたが、人間を人間たらしめているものが何なのかが問われている気がします。

No title

森博嗣、というミステリ作家がいます(おそらくJGさんはキライだろうと推測する)。理系ミステリのカテゴリではかなり売れた作家です。

 この人の著作の中に、 「木製の起き上がり小法師」が出てきます。

この起き上がり小法師は
○有機物でできている
○可愛いのでみんな欲しがり、人間の手によってどんどん複製される
○代謝反応(押すと起き上がる)がある

 で、この起き上がり小法師は 「生物」か否か? と問うています。

 直感的には生物ではない。 でも自己複製して代謝反応があって・・・

 ほほほ

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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