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フェルミ推定の黄昏

本日はお仕事の話をします。
コンサルという仕事をしていて「つまらんなあ」と思うのは、まったく有効でない商品を売るような場合。
最近少なくなってきて嬉しいのだが、一時は採用マニュアルでフェルミ推定を盛り込んだものを山ほど作った。あれは「つまらんなあ」という仕事だった。

フェルミ推定なんか聞いたことがないという人もいると思うので、ここでフェルミ推定に関して少し説明を。
東京にマンホールの蓋っていくつあると思います?
まあこんなこと知ってる人なんていないわけです。で、これを推定するのに次のような方法を使う。
(1)仮説を立てる。
(2)問題をいくつかの要素に分解する。
(3)既知のデータを活用する。
(4)各要素の推定量を決定(算出)する。
(5)総合する
これがフェルミ推定です。

まあ例えばですね、模範解答のひとつとしては、「東京の人口は1300万ぐらいだから、世帯数は650万ぐらいかな。マンホールの蓋は世帯数の10%ぐらいだから、東京中で65万のマンホールの蓋があるだろう。」などとゴリゴリ考えを進めていくわけです。

この「東京のマンホールの蓋の数」というのは、フェルミ推定の代表的な設問なので、見た人もいるかも。
フェルミ推定は、知識を問うているのではなく思考法を試すことが出来るというので、地頭測定の救世主みたいな扱いでいっとき社員採用の現場で猛威を奮ったんですよ。
他にも「ジャンボジェット機にゴルフボールは何個入るか?」という設問なんかがあります。答えは各々考えてみてください。俺も正解は知らない。
あ、東京のマンホールの蓋の数ですが、だいたい50万枚程度だそうです。65万ならまあニアピンでしょう。

ところでこのフェルミ推定というやり方、俺は全く信用していない。
何故か。
まず人口を半分にして世帯数としたところなんか、ちょっとどうかなと思いますよ。かなりおおざっぱな考えで、こんなことを繰り返していたら、理屈はあってるけど答えは大きく違ってくる、なんてことが起きます。

もっと深刻なのが、「マンホールの蓋は世帯数の10%ぐらい」という判断。そんな話聞いたことがない。
この文章を読んでいる人の中で、世帯数とマンホールの数の関係をご存じの方はいるでしょうか?まあいないでしょう、いないということで話を進めます。
となると、誰かがもし知っていたなら、それは知識を問う問題ということになり、本来の思考力を測るというのとは違ってくる。
いや、そもそも思考力判断なのだから、データやフィルタ値が間違っていてもOKなのだ、というなら、次のような推論ならどうなのか。

まず東京の道路の総延長距離は、旧国鉄の営業キロ数とほぼ同じ2万キロとする。
マンホールは経験上50メートルに1つ程度あるので、答えは約40万。

東京の道路の総延長距離と旧国鉄の営業キロ数がどうして同じなのかは知らない。「マンホールの蓋は世帯数の10%ぐらい」というのと同じくらいの「思い込み」。
そして「マンホールは経験上50メートルに1つ程度ある」というのは「東京の世帯数は人口の半分」と同様、なんとなく経験上そう思うから。

思考力を測るなら、この思考にはどんな判定がつくのか。実はフェルミ推定の一番の問題がこれ。
答えをどう判断するべきか、誰にもわからない。
世帯数から65万と答えた人と、道路の総延長距離から40万と答えた人と、あるいはNYや北京との比較で50万と答えた人と、どの人がどんな評価を受けるのか。

無論フェルミ推定を使った採用試験は多くの場合面接なので、その後のやりとりが重要で、その対応の過程で思考力をみていくのだが、だったらフェルミ推定なんか使って窮屈に考える必要はない。
無論フェルミ推定というフレームを使うのは構わないが、その結果求める思考力はどうしてもフレームに寄り添ったものになりがちだ。
挙げ句の果てに「どんな対応をしたら思考力が測れますか?」などと人事から言われる身にもなってみろ。
自分で考えろそれが思考力だと言いたいところを我慢して(というのも、ここが一番カネになるので)、4つぐらいのパターンをご覧に入れる。

Googleの人事担当者が「フェルミ推定を採用に使ったのは失敗だった」と正直に言ってくれたお陰で、最近はこの手のものが減ってきて実は嬉しい。
その代わりラテラルシンキングというのが出てきて、これはこれでカネになるけどメンドイ。
採用の現場で思考法なんか測ってどうするのか、そもそもラテラルシンキングが問われるのは学生じゃなくてお前さんたちなんだよ、ということが(以下略

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コメント

「フェルミ推定」という言葉は聞いたことがあったものの、その意味を知ったのはつい2, 3年前でした。

ネーミングがちょっと大げさですよね。
フェルミってビッグネームがついてるので、てっきりリーマン予想みたいな難しい話なのかと勘違いしていました。

確かにフェルミ推定問題など使わずとも、よりよく思考力を見極める方法は色々あるかもしれませんね。
いっそのこと、

「君がわが社の人事部の採用担当であるとして、入社希望者の思考力を試し、判断するために適切と考えるフェルミ推定問題を作成し、なぜその問題が適切であるか理由も述べよ」

なんて「フェルミ推定問題作成問題」を出したらどうだろう。
これなら、思考力もさることながら、この会社の人材に何が必要と受験者が考えているかも問えるし、問題提起力も問える。なんてね。

No title

>なんて「フェルミ推定問題作成問題」を出したらどうだろう。

あ、この「問題作成問題」は良い問題だと常々私も思っています。
たとえば「ある人が○○高校OBかどうかを確かめるためにあなたはどういう質問をしますか?」という問いの答え方を聞けば、本当にその人が○○高校出身かわかると思うんですけどね。
今の時代、ネット検索すれば与えられた情報の真偽を確かめることは比較的容易にできるけれど、自分で問いを作るのは本当にわかっていないとできません。

「パウリ効果」という有名なジョークもありますよね。

「パウリ効果」は初耳でした。

「フェルミオン→パウリの排他律」と連想して、てっきり排他律が絡んだ話なのかと思って、wikiで調べちゃいました。
朝から笑わせていただきました。パウリ効果を実演しようとしてシャンデリアに仕掛けをしたら仕掛け自体が壊れてしまったというくだり、最高。

天真爛漫な息子と自由奔放な母

母は何でもやってみたいのに、息子は興味のある事しかやらない。だから唆すのだ。

母「あのキリン(着ぐるみ着た人)と遊びたい。」
息子「ふぅ~ん。じゃ、お母さんだけ遊んで来れば。」
母「え~っ、だってさあのキリン、1人でお客さんの相手してるんだよ。服のどこにも穴開いてないのに周りが見えてるんだよ。腕の位置から考えたらどう頑張っても目の位置は首の真ん中くらいなのに何で見えるのか不思議じゃない?」
息子「あぁ確かに」
母「あんな細い首にセンサーとかモニターとか仕込めないしぃ~」
息子「そうだねぇ~。もっと単純な仕掛けかもしれないねぇ~。潜水艦の潜望鏡みたいなのじゃないかな?ちょっと確かめてくるわ。」息子しばしキリンのストーカーとなる
息子「あぁ、やっぱ潜望鏡だわ。体のどこにもメッシュ部分が無いし、眼球が空洞で、ずっと下をのぞきこむようにしてる。」

そんな風にして、いつも自由奔放な母の好奇心と天真爛漫な息子の探求心は満たされているのでございます。

科学者の目

仮説を立てて観察する。いいですねえ、科学者の素養です。

最近の大人の中には、仮説も立てられなきゃ、色眼鏡でしか観察できない、挙句の果てに気に入らない結果は認めない、などという人もいます。(麻生氏の悪口ではございませんがそうかもしれません(不確定性原理(嘘

先日のショーの中にも、
「学力って所詮は5教科」「社会ではもっと重要なことが必要とされてる」
という人がいましたが、
こういう人は、学んだことを己のために利用する気持ちが希薄な方なのでしょう。(いわゆる勉強馬鹿ですな

>学んだことを己のために利用する気持ち

私は漫然と日常を生きているので偉そうなことを言える立場にはないけれど、
学びを通じて知識や経験が蓄積されることにより、自分の周りの世界を変えることは、確かにできる。学びは世界と繋がっている。

自分の周りに存在している世界は、「客観的には」昨日も今日も同じかもしれない。
でも新たに語彙や知識が増えれば、「自分が見ている」世界は昨日と今日では変わる。

昨日まではただの雑草と見ていた草が「ヨモギ」だと知れば、今日からそれは食材に見えてくる。
柳の樹皮にサリチル酸という痛み止め成分が含まれていて、昔の人が歯の鎮痛のために用いていたのが柳でできた楊枝であったと知れば、今日から街路の柳の木が医者に見えてくる(いやそれはない…)。

学びを増やすことは、自分の目の画素を増やすことだと思う。

ある親子はキリンの着ぐるみをただのキリンの着ぐるみと見るかもしれない。別の親子はキリンの着ぐるみの布地の材質や目の部分の構造を見て、着ぐるみの内部構造をも見てとるかもしれない。
ある親子は巻き貝をただの巻き貝だと見るかもしれない。別の親子は巻き貝の中にフィボナッチ級数的螺旋成長を見るかもしれない。

たいした違いではないのかもしれない。
でも昨日までの世界と、学びを経た今日の世界とでは、その人間に対して見せる彩りがまったく異なる。

No title

 うーん。
 オラは仕事していて目一杯5教科7科目の学力を使っているが、「もっと学んでおけばよかった」という方が一般には多いのでは?

 社会に出て、「私は 中学高校大学で十分学んだ。これ以上 学校の勉強は不要」という人がいたらそれはそれで大したもんですが・・・
 (キャリア官僚なんてそんな感じかも)

 オラみたいな凡人は、社会に出てから「学校の勉強」を一生懸命やった。
 生物学はかなり勉強した。 化学も物理も。
 英語は お金を払って英会話学校に行った。

 他にも・・  経済学は勉強しておくんだった。
 プログラミングもベーシックで終わらせずいろんな言語をやるんだった。
 

No title

ところで最近 クイズ番組みたいな仕事をした。

宇宙飛行士が撮影した画像をみて「地球のどこを撮影したか」を推測するのだ。

 オラの地理力がないせいかもしれんが、簡単なようで実は結構難しい。

 欧米人ってのは紅海スエズ運河ナイル川が大好きで そこばかりやたら撮影する。 ここは特徴があるのですぐわかる。 というか、海峡はどこもわかりやすい。
 難しいのは「島」「半島」だ。

 バルカン半島とかソマリア半島みたいに超メジャーだとすぐわかる。

 面白かったのはカスピ海につきでた チェレケンだ。
「なんか変な半島があるなあ」とグーグルマップを探していたら あった! これだ とわかった。

(難しすぎて不可能なのは「山脈」だ。これは人間には絶対わからない)

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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