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ヘンゼルの仮面がはずされた時、グレーテルの仮面はふるえだす

先日、『短歌と俳句の五十番勝負』という本を読んだ。歌人・穂村弘と俳人・堀本裕樹の共著である。
五十のお題に沿って、それぞれが短歌と俳句を作っていくのだが、寝しなに読むとなかなか面白い。睡眠時間が少し削れた。

まずは夏らしい短歌(穂村弘)・俳句(堀本裕樹)から。

水泳の後の授業の黒板の光のなかに溶ける文字たち(穂村弘)

最近は水泳の授業が少ないらしい。となると、若い連中はこの歌の臨場感がわからないかも。
とにかく水泳の後は眠い。昼飯を食ったあとの水泳の授業が、最強のラスボスである。

脱ぎ捨てたビーチサンダルに描かれた目玉が見つめている太陽(穂村弘)

静かな歌である。動きもない。それでいて太陽に容赦なくジリジリと照りつけられているのが、如実に実感できる。
ああ、ビーチサンダルを履いて海に行きたい。

カルピスの氷ぴしぴし鳴り夕立(堀本裕樹)

最後の「夕立」は「ゆだち」と読みます。氷がぴしぴし鳴いたり、夕立の気配があったり、何やら不穏な雰囲気の瞬間です。
でも、楽しい「不穏」です。夏は楽しい不穏に満ち溢れているのです。

面白かったのは「共謀罪」というお題での二人の短歌・俳句。

友だちがひとりもいない僕の目の中に燦めく共謀罪よ(穂村弘)
喰らひ合ふ夜食共謀罪めけり(堀本裕樹)

共謀罪は、相手がいないと成立しません。一人ぼっちじゃ駄目なんです。そんな一人ぼっちの「僕の目の中に燦めく」共謀罪の真偽とは?
ミステリアスですな。
堀本の方は、友達でしょうか、夜な夜なラーメンでも作って食べている情景でしょう。「喰らひ合ふ」なんて書くぐらいですから、気の置けない友達なのでしょう。
「こんどあいつ、ぶったたいてやろうぜ」「そうだそうだ」なんてことを言いながら、ハフハフ食べるわけですよ、サッポロ一番(みそ味)を。

穂村には独特なミステリアスな歌が多いです。

どろどろのバナナの皮を抱きしめて猿が謀反の夢をみている(穂村弘)

なんか怖いですな。
赤と黒の二色だけで表現されている粗い彫り跡の版画を見るような趣です。

ヘンゼルの仮面はずせばグレーテルの仮面の君がふるえはじめる(穂村弘)

何が起きるんでしょうか?!
グレーテルの「君」はなぜふるえたのでしょうか? ヘンゼルの仮面の下にあった顔が意外な人物だったからでしょうか?
そして「君」はグレーテルの仮面を外すのでしょうか? 外した時、顕れる顔は果たして「君」なのでしょうか?


最後に、本の中で触れられている高浜虚子の俳句のご紹介しましょう。
ちょっとのどかで笑っちゃった。

先生が瓜盗人でおはせしか(高浜虚子)


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コメント

いい歌や句が並んでますね。
私が読んだ穂村さんの本は、他人が詠んだ短歌を評するもの(『短歌ください』シリーズ)やエッセイ(『絶叫委員会』『異性』)だけで、穂村さん自身の歌集を読んだことがなかったので、こんど『短歌と俳句の五十番勝負』を読んでみたいと思いました。
穂村さんは「怖い歌はいい歌」と仰っていましたが、私もそう思います。

「水泳の後の授業の黒板の光のなかに溶ける文字たち」もほんとに上手いですねえ。
文章を書くときに「の」を重ねすぎちゃいけないとよく言われますが、「水泳の後の授業の黒板の光の…」と敢えて「の」を繰り返すことにより、だんだんと睡魔に絡め取られていく様子が伝わります。

No title

東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたわむる

 石川啄木の歌ですが、この場合の の は 画面が次第にズームインして行く効果と言われています。

 実は石川啄木はオラの学校の先輩だ。

 啄木には色々 縁があり、オラの中三の自由研究は「啄木の歌碑を訪ねて」  だった。

 北海道と岩手県にある石川啄木の歌碑を行けるだけ全部行って 「なぜそこにあるか」「歌」「歌の解釈」を連ね、それによって啄木の人生を浮かび上がらせる、という試みだった。 
 
 盛岡の中学校のバルコンの
てすりに最一度我を倚らしめ

 これ、わかる。オラの感情そのままだ。

 啄木は盛岡中学(現在の盛岡一高)にいた頃がよほど幸せだったのだろう。

 己が名をほのかに呼びて涙せし
 十四の春にかへる術なし

 こんな歌もある。


 学校の図書庫の裏の秋の草
黄なる花咲きし今も名知らず

 こうしてみると啄木は 「の」 のズームインが多い。

 友がみな われよりえらく 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ

 気持ちはわかる。 
オラは鬼嫁ではなくアホ息子と会話しながらビールを飲む。

啄木さんは実はお金と女性にだらしがなかったという話をどこかで聞いて、好きになりました(ハルビンさんの先輩なのに、失礼つかまつります)。

「の」と言えば、宮崎駿監督作品のタイトルに「の」が付いているものが多いという話がありますね。
いまwikiを見たら、「「の」の法則」としてとりあげられていました。

No title

 タイトルや名前の験担ぎ?って 色々あるようです。
 NHKの朝ドラは やたら「ん」が付くし、トヨタの車はC で始まるのが多い。 日本テレビの番組は「世界」が多いと聞いた。

 ヒットのためには藁をも・・ってことでしょうか。

No title

啄木は
「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」
とうたっているので、生活が苦しかったイメージがありますが、実はお金が入ると遊郭に行ってぱーっと使ってしまうような人だったのですよ。
と、金田一春彦さんがTVで解説されていたことがありました。
Wikipediaの金田一さんの項を読んだら、啄木の事を良く思っていなかった理由がわかりました。
ちなみに父の金田一京助さんも宮沢賢治も盛岡中学出身なのですね。
やはりナンバースクールはOBが凄い。
『遠野物語』も岩手ですし、岩手は文学の県ですね。アイルランドとよく似ているような気がしております。(岩手にはスキーでしか訪れたことがありませんが)

No title

>ちなみに父の金田一京助さんも宮沢賢治も盛岡中学出身なのですね。

 ありがとうございます。 尊敬すべき先輩です。

 ついでいうと
 米内光政も 板垣征四郎(A級戦犯) も先輩です。

男が仮面を外す時

>こうしてみると啄木は「の」のズームインが多い。

日下りの 化学の室の 十二人 イレキを 帯びし 白金の雲   by賢治

もしかしたら、当時の流行りだったのでは(岩手限定)??

>啄木さんは実はお金と女性にだらしがなかったという話をどこかで聞いて、好きになりました

一度でも 我に頭を 下げさせし 人みな○ねと いのりてしこと・・・俺様に頭を下げさせた奴はみんな○んじまえフンッ!

 それが啄木という男だと思っております。浅草や吉原で遊女達と派手に遊んでいた様子が赤裸々に綴られている『ローマ字日記』を読めば彼の人となりが分かると思いますが・・・女の敵とでも言うべき男です。ちなみに中学はカンニングがバレて退学になりました(故に代用教員にしかなれなかったのでございます)

 不正と判断され続ける事数回・・・暴言と思われる言葉を消しまくってようやく投稿できました(^^;

どちらが仮面でどちらが素面(すめん)なのでしょうね。
素面などどこにもなく、どれも仮面なのかもしれない。『仮面の告白』(三島由紀夫)の「私」のように。

ヘンゼルの仮面の下も仮面だったのかもしれない。
「君」をふるえさせたのは、自分の仮面の下も仮面なのかもしれないという恐怖だったのかもしれない。

銭形平次と金田一耕助

野村胡堂(銭形平次)も盛岡中学の卒業生ですね。凄いな。
ちなみに野村胡堂をwikiで調べると、音楽評論家の肩書にちょっとニヤリとしますな(野村あらえびす)。
確か葬儀は音楽葬でもあって、読響あたりが演奏したはず。
(ちなみに葬儀委員長は同級生であった金田一耕助、もとい京助。おや、あの名探偵も岩手出身かな)

そうだ、野村胡堂はソニーの大株主でもあった。
井深さんが以前「ずっと前、ソニーがまだ小さな会社だったころ、野村さんに随分支援してもらった」と言ってた。

No title

 加藤千恵さんという歌人をご存知でしょうか。
 2000年頃、 北海道の女子高校生の時に歌集を出版。 ちょっとした話題になりました。

 オラはその歌集「ハッピーアイスクリーム」を買った。が、今、書庫を見たが、ない。結婚した時に大量に本を処分した時に売ってしまったらしい。 ちょっと残念だ。 

 加藤さんの短歌というのは 俵万智さんの延長のような感じ。 でも俵さんよりもっと「身近」な言葉を使う。

ついてない
びっくりするほどついてない
ほんとにあるの? あたしにあした

重要と書かれた文字を写していく
なぜ重要かわからないまま

言葉しか残っていないけれど
まだ言葉だけなら残ってはいる

まっピンクのカバンを持って走ってる
楽しい方があたしの道だ

幸せにならなきゃだめだ
誰一人残すことなく省くことなく

雨に似た言葉を持った人だった 
字を丁寧に書く人だった

合格を祈願している場合じゃない
だってあたしは恋をしたのだ

真実や
そうじゃないこと
なんだっていいから君と話がしたい

フィルムがあまってるって言ったけど
それはほんとは口実でした 


 こうしてネットで拾って列挙すると、ああ加藤さんの世界だなあ、と思い出す。

No title

>野村胡堂(銭形平次)

ご紹介ありがとうございます。
野村胡堂は、一般にはほとんど無名。
盛岡一高の「先輩10傑」に名を連ねていますが、最初は 「誰?」って感じでした。

笹井宏之さん。
2009年、26歳の若さで病没された夭折の歌人である。
NHKの番組で代表的な作品「えーえんとくちから」と共に紹介されたのでご存知の方も多いと思う。
今年は没後10年になる。
初めてこの歌に出会った時、心が震えて泣いた‥。

>実は石川啄木はオラの学校の先輩だ。

>啄木は盛岡中学(現在の盛岡一高)にいた頃がよほど幸せだったのだろう

>ありがとうございます。 尊敬すべき先輩です。

>盛岡一高の「先輩10傑」に名を連ねていますが、最初は 「誰?」って感じでした。

すばらしい学校ですね。すごいなぁ。
詩歌好きにとってはまるで聖地のよう。
高校受験浪人を選択する気持ちもわかる気がします。

素顔のままで~Billy Joelを聴きながら~

>素面などどこにもなく、どれも仮面なのかもしれない
 中学教科書に掲載されている『素顔同盟』は全ての人が全く同じ笑顔の仮面を付けて生活する事を義務づけられた社会を描いた作品で、30年以上前に『詩とメルヘン』という月刊誌に掲載されておりました。作者のすやまたけしさんは常連の一般投稿者で、この作品は何かを意図して書いたものではないので、読み手の方がそれぞれ自由に解釈してくれてかまわないというようなコメントを残しておられました。
 編集長のやなせたかしさんは、投稿作品を選ぶ際に、謎の残るラストシーンを好ましく思っていらしたようです。

ローマ字VSカタカナ

『桟橋で 愛し合っても かまわない がんこな汚れに ザブがあるから』

 最近は口語自由短歌の人気が高まってきたようでございますね。俵万智さんがデビューした頃の短歌界には、まだ保守的な面が色濃く残っていたようで文語調の骨格に斬新なカタカナを埋め込むような文語口語混淆体短歌の人気が高かったように記憶いたしております。

草田男ぶり

>野村胡堂は、一般にはほとんど無名。

ああ、昭和は遠くなりにけり。

>合格を祈願している場合じゃない
>だってあたしは恋をしたのだ

これほど力強い「のだ」にはなかなかお目にかかれないですね。
時空を切り裂いて仁王立ちする女子高生の姿が見える。

No title

昭和の歌謡曲、ポップス、この年になって振り返ると全く違う味わいが有りますね。特に歌詞。小学校の時、「時には娼婦のように」が「ザ・ベストテン」で放映され、早速覚えて翌日学校で流行らせて担任に怒られたりしましたが、辞書に書いてあるような表面的な言葉の意味だけ分かって聴くのと、人生を経験した上で聴くのは全く違うものです。

流行歌の定番といえば男女関係や異性への想いを綴ったものですが、昔から、作詞家は恋愛経験が豊富な方が向くのか、そうでない方が向くのか、どちらだろうかと考えていました。松任谷由実さんなんかは、想像するに失礼ながら「片思いの女王」とも呼ぶべく、内に秘めたエネルギーを言葉に昇華させているのかな、と思っておりました。

某WikiXXdiaによると、日本の作詞家歴代シングル売り上げ枚数トップ3は、秋元康、阿久悠、松本隆、だそうです。完全に想像ですが、秋元氏はいわゆるオタクで、自分が中高時代の女子に関する想いや妄想が詩の原動力、阿久氏は男女関係以外の詩も多く、男女関係系のものも、何かリアリティを感じない。おそらく女性に対してはあっさりした方だったのではないかと思われる。対して松本氏は情景がリアルに浮かんでくる。様々な実体験を基に、でもそれを都会的に洒脱に言葉にしている、と感じます。昔の画像を見ても、これは相当モテただろうなあと思います。

という事で、実体験の有無ではなく表現力の勝負という、全く面白くもない結論に達しました。

No title

「日銀の金融政策決定会合後に行われる黒田総裁の記者会見時の表情をAIにより分析して、その後の金融政策を予想する」という研究に関する記事を読んだことがあります。どれほど精度で予測できるのかはわかりませんが、人間が読み取れない微妙な表情、しぐさ、声の変化をAIが検出することは益々可能になることでしょうね。黒田総裁もそのうち仮面を被る必要が出てくるかもしれませんw

そういえば“顔は誰も知らないが身体は誰でも知っている”けっこう仮面という漫画のキャラもありました。
というわけで、つけ麺さん登場をお待ちしておりますw

ここでもう1人、仮面をつけた謎のキャラ、「つけ面」の登場だ。ふふふ。みんな誰のことだか分からないだろうなあ・・・
人間の視覚認識なんてのは「けっこう」いい加減なもんで、インパクトがあるものに眼を奪われると、他のところはあんまり見えなくなってしまうらしい。ワンレンが流行ると、ワンレンにしとけばあんまり顔に眼が行かなくなる、ルーズソックスが流行ると、ミニスカでルーズソックスにしとくと、あんまりその他に眼が行かなくなる。
そういう意味じゃ、ほとんどの女子は仮面を被っているのかもね。けっこう仮面だけじゃなくて。

SHINING MOON ~復活の兆し~

 この夏、複数企業がコラボして“美少女戦士”を復活させます。(プリキュアついにネタ切れか?)セーラー戦士達の聖地は麻布十番。そしてセーラー戦士の助っ人タキシード仮面が通う『元麻布高校』は“やる気のある奴だけが生き残れる偏差値90超の進学校”
 決戦の日は麻布十番まつりだと、25年前の衣装に袖を通してはみたものの・・・やっぱりね セーラー服は ちょっとビミョー(^^;

『短歌と俳句の五十番勝負』と、白鳥座さんが紹介してくださった笹井宏之『えーえんとくちから』(ちくま文庫)を少しずつ読んでいます。

後者の本のタイトルにもなっている歌はすさまじいですね。

えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい

えーんと口に出して泣いているのかと思ったら、永遠解く力。
五七五七七の詩形。繰り返しが生む呪術性。漢字かな混じりの日本語特性。
すべてが生かされきってますね。
私も日本語を長く使ってきたけれど、私の中のどこを探してもこんなことばは見つけられそうもありません。

女が仮面をつける時

 令和初の仮面ライダー『ゼロワン』。サブキャラですが遂に女性ライダー『バルキリー』が誕生しました。演じるのは週間プレイボーイのグラビアで水着姿を披露したばかりの井桁弘恵。そしてヒロインは社長秘書のAIヒューマギア『イズ』ピチレモンとポップティーンの専属モデル鶴嶋乃愛なのですよね・・・。そして『ゼロワン』役の高橋文哉は調理専門学校を卒業しAbemaTVで活躍中の18才。
 ヒューマギア達が活躍する社会で、悪の組織のハッキングによりヒューマギア達の暴走が起こります。そして人類を絶滅危惧種にしないために若きライダー達が立ち上がる・・・そんなストーリーに時代の流れを感じるのは私だけでしょうか(笑)
 ちなみに初回の怪人役“なかやまきんに君”の人気が上昇中とのこと・・・やはり、日々黙々と努力する事は大事だと感じました。

男が筋肉をまとう時

>ヒューマギア達が活躍する社会で、悪の組織のハッキングによりヒューマギア達の暴走が起こります。そして人類を絶滅危惧種にしないために若きライダー達が立ち上がる・・・そんなストーリーに時代の流れを感じるのは私だけでしょうか(笑)

コンピュータの暴走に人間が立ち上がると聞くと、すぐにターミネーターやマトリックスを思い出してしまう私の進歩のなさ(涙)。
なかやまきんに君は、アーノルド・シュワルツェネッガーのオマージュでしょう。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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