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木乃伊取りが木乃伊になる~いつの時代でも老人は若者に嫉妬する

今回は今年の上野千鶴子氏の東大祝辞の内容をちょっと復習してみます。
以前(「偽・東京大学祝辞~養殖と天然」(2019/04/26))は、東大生に向けてというスタンスでしたが、今回は真っ向勝負です。
書き起こし文は東京大学HP内の「平成31年度東京大学学部入学式 祝辞」からいただきました。青字が上野氏の祝辞部分です。改行は俺がしました。


昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。
文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。
問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。
1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。
ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。
統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。



ここで上野氏は、女子合格率が男子合格率よりも低いことから私大医学部をディスり、逆の地方国立医学部をアゲています。
しかし何しろここで一番大切な言葉は「統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから」の一言。
この言葉が後々、痛烈に効いてきます。


女子学生が男子学生より合格しにくいのは、男子受験生の成績の方がよいからでしょうか?
全国医学部調査結果を公表した文科省の担当者が、こんなコメントを述べています。
「男子優位の学部、学科は他に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」。
ということは、医学部を除く他学部では、女子の入りにくさは1以下であること、医学部が1を越えていることには、なんらかの説明が要ることを意味します。



え?考察の元が統計数値じゃなく、文科省の担当者の言葉?
「統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから」はどこ行った?


事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明しています。
まず第1に女子学生は浪人を避けるために余裕を持って受験先を決める傾向があります。
第2に東京大学入学者の女性比率は長期にわたって「2割の壁」を越えません。
今年度に至っては18.1%と前年度を下回りました。
統計的には偏差値の正規分布に男女差はありませんから、男子学生以上に優秀な女子学生が東大を受験していることになります。
第3に、4年制大学進学率そのものに性別によるギャップがあります。
2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。
この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。



「事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明」って、そのデータどうして出さない?
「まず第1に」と始めたから、ここから女子の偏差値が高いデータが出てくるのかと思ったら、違う話になっているし。
「統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから」はどこ行った?
女子の方が男子より偏差値高いデータがあるんでしょ?
それ出せば一発で終了なのに、……あ、(察し

ちなみにこの箇所での上野氏のロジックはフラフラしていて、読んでいて気持ちが悪いですね。
第1「女子は浪人を避ける」、第2「東大女子は20%もいない」、第3「親の性差別」。この3つを並記しているのが間違いです。
これは第1「女子は浪人を避ける」、第3「親の性差別」、だから第2「東大女子は20%もいない」という流れにしたいところです。
減点ですね。


さてこの祝辞で俺が一番微笑みを禁じえなかったのは、次の2つの箇所の対比。

<私たちの頑張りのおかげでいろいろな研究で学位が取れるようになった>
今日東京大学では、主婦の研究でも、少女マンガの研究でもセクシュアリティの研究でも学位がとれますが、それは私たちが新しい分野に取り組んで、闘ってきたからです。

<あなたたちの頑張りが報われたのは環境のおかげ>
がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。


ああ、なるほどね。自分の頑張りが報われたのは自分の努力の成果だが、眼下にいる若者たちは環境のおかげというわけか。
「私たちは闘ってきたけど、あなたたちは恵まれている」
昔はこんな老人がたくさんいた。そしてその頃「新しい分野に取り組んで、闘ってきた」人間が、年を取って同じことを言いだしている。

木乃伊取りが木乃伊になったな。

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コメント

No title

改めてHPで全文を読みましたが、ひどいですね。誤解、無責任、偏見、無知、お説教、自慢などが、何の脈絡もなく並べてあるという印象です。高校生の弁論大会でも、入賞者はこれより余程ましな話の組み立てをするでしょう。

まずはロングさんもご指摘の、医学部入試における男女格差の件。それぞれの受験者の学力レベルを提示することなく、女子の合格率が男子より低いのはなんらかの説明が要ることを意味しますと述べていますが、自分も大別すれば大学側の人間、つまり説明責任を負う立場です。
「女子は浪人を避ける」ので、「受験校選択が安全志向になる」「従って一般的には男子より女子の方が合格率は高くなる」というのは繋がりますが、「女子優秀層は医学部志向が強いため、医学部に関してはチャレンジする傾向も有る」という事を考慮すれば(定量化は難しいですが)、医学部については女子の合格率が低くても少しもおかしい現象ではありません。そもそも何が事実なのかは、ロングさんのおっしゃる通り、男女受験生それぞれの偏差値データさえ提示すれば分かります。統計的には偏差値の正規分布に男女の差はありません、というのも疑問。それでは、駿台などの模試で理系最上位層の大半を常に男子が占める現象をどう説明するのでしょうか?正規分布という概念をきちんと理解しているかすら怪しい。
姫野カオルコ氏の一作品を見れば、東大の男子学生が社会からどんな目で見られているかが分かります、とは同氏が東大男子に対して極度な偏見を持っている事の証ですし、日本の歴史に同性愛者はいたの?...誰も調べたことがなかったからというくだりも有りましたが、万葉集に触れた事も無ければ、江戸時代以前において僧侶や武士の間では特殊ではなかったという事さえも知らぬまま、研究の道に入ったのでしょうか。この程度の知識は、ちょっと気の利いた受験生でも知っています。

同氏が今日の地位にあるのは、ジェンダー論に関して過激な発言を繰り返す”女性”研究者、である事に対してメディアから需要が有ったからでしょう。自分が研究者としては女性であることの恩恵を最大限に受けてきた事の自覚がなく、むしろ様々な逆風に打ち勝って自力で築いてきた、あなた方女性の為に道を切り開いたのだ、と吹聴している事に対しては、苦笑を禁じ得ません。

同氏が実は一番理解していないのが、日本の女性達、ではないでしょうか。同氏に上から目線のお説教などされなくても、日本の女性達は全般的には賢くしなやかに、したたかに生きていると思います。少なくとも、同氏に啓蒙していただくべき対象ではありません。

ご存じかも知れませんが

息子の同期で、とても不快に感じた女子学生もいたようで。

東京大学新聞がWEBでこの祝辞に関するアンケートを取っています。(10日締め切り)

http://www.todaishimbun.org/questionare20190419/


最後の「祝辞に関してご意見がある場合はご自由にお書きください」のところにJGさんのご意見をつっこみたくなりました。しませんけど。

濱鈴さんへ

濱鈴さん、祝辞に関して賛否両論あるのは良いことだと思います。
ただ、統計云々というなら、やはり統計的に話をするべきだと思うのですよ。

>息子の同期で、とても不快に感じた女子学生もいたようで。

息子さん、なかなか優秀でいらっしゃる。前途有望ですな。

陸宿借さんへ

まあ、これが上野氏の昔からのやり口でしてね。
その場では勢いとうまいこと言って、マウントを取るんですが、書かれたものになると、てんで話しがつながりません。
言葉は悪いですが、詐欺師の口上ですよ。

でも女性の権利の獲得と維持、そして環境の向上に努めていることは確かなので、大筋では目をつぶっているのが論壇の大勢かな。

「自分の頑張りが報われたのは自分の努力の成果」とは言い切れないのが、本当のところでしょう。

No title

ロングさん、どうも。

詐欺師の口上とは、非常に的確ですね。
こうして文字にすると脈絡の無さや、個々の矛盾が露わになりますが、否定しようのないフレーズ(社会の不公正と闘い続けてきた、娘の翼を折らない、恵まれた環境と能力を恵まれない人を助けるために使って、等々)をいくつか紛れ込ませる事で、なんだか全体として正しい事を言っているように思わせるテクニックに長けているのでしょう。世界平和、とか、恵まれない子供達を救おう、等と言いながら、集めたお金を少なからず自分の懐に収める連中の手法によく似ています。

濱鈴さんの息子さんの同期の女性学生さんの感覚は極めて正当な物だと思いまして、おそらくそれは、賢明な東大女子の一般的な感想ではないかと思います。

数字を拾うと

JG様、皆様。初投稿になります。
Radio-Radioと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

”詐欺師の口上”を、”どう読み解くか?” ちょっと数字を拾ってみました。

上野氏イチオシ4国立大学
センター 英語 数学 理科 面接
島根 700 200 200 60
福井 900 200 200 200 100
徳島 900 200 200 -
弘前 900 300 300 300


女子合格率Worst 4国立大学
https://www.huffingtonpost.jp/2018/08/10/igakubu-data_a_23499881/

山梨 800 600 600 -
岐阜 400 400 400 400 -
新潟 750 150 150 150 -
広島A 900 300 300 1200 -

ものすごくわかりやすい結果でした。
各大学は、ある意図を持ってかような出題をしているだけで、その結果だけを切り取ると”詐欺師の口上”になるわけだ。

Radio-Radioさんへ

Radio-Radioさん、初めまして。
いろいろと気長に遊んでいってください。

No title

JG様、皆様。どうぞよろしくお願いします。
ところでハルビンカフェ様。過去の投稿の内容から神楽坂の民かなぁ?とは察していたのですが、、(世代は違うと思うのですか)まさかのOB科でしたか?N先生のKBに痛めつけられたりしてますか?

No title

おはようございます。

ふぎゃ。
神楽坂です。 応用物理です。 
まあ、オラはほとんど授業に出なかったので、大半が自業自得ですが・・・

 

祝辞 あるいは 呪辞

私はフェミニズム論についてよく知らず、上野さんの本も読んだことがありませんので、適当なことを書きますが、上野さんには色がつきすぎて、「上野千鶴子」という存在そのものが一個の主張になってしまっている面もあるかもしれません。
(そもそもフェミニズム論自体、学問というよりも社会運動としての色が濃いためかもしれませんが)

今回の祝辞も、「論説」として刮目して読むと苦々しいところがありますが、「私の主張」として薄目で読むくらいがちょうどよいのかなと感じました。

ただ私としては、JGさんが「ネット掲示板の匿名性が好きだ」(2019/4/20)でも触れたように、人の物言いは(特に学者の言説は)、「述べたのが誰か」ではなく「述べられた内容」により判断されるべきと考えており、「上野千鶴子」が語ったからといって自動的に免罪符が発行されるべきではなく、しかも祝辞がHPに掲載されるというのであればなおさら、統計的裏付けや歴史的裏付け、ロジックはきちんと組み立てておかれた方がよかったのに、とは思います。

……とここまで書いてきて、「上野さんに祝辞をお願いし、それをHPに掲載すれば、その後に各方面で議論が巻き起こるであろう」(上野さんの祝辞自体を学びの材料にしてやろう)などと想定して東大が上野さんに祝辞をお願いしたのであれば、なかなか奥が深いなと思います。

No title

その気にさせる祝辞でしたね。文字起こししてみると唐突感が否めないのか、、、

僕は、東大女子がモテないと直接書かれてはいないですが、それは嘘だろとは思いました(上野さんは京大ご出身の様ですので、ご存知ないのでしょう)&娘の翼・・・・のところは沁みました。

No title

医学部入試の不正についての調査を見ると、女子受験者への不公正な扱いが疑われるのは4校なのですが、縁故者(卒業生の子弟等)に対する優遇が疑われたのが6校有ったそうです。
上野さんは女性の権利拡大がライフワークなので、あえて女子の問題に触れたのでしょうが、問題にすべきは経済格差による教育機会の格差、だったのではないかと思います。
これでは、女って自分のことしか考えないよな、と思われてしまいそうです。

No title

この間、村木厚子さんの本を読んだのですが、ああいう人こそ、、、とは思ったかもなあ。まあ、いろんな人が居ていいのですが、

はっけよい

本当にどうでもいい話ですみませんが、

「木乃伊取り」

という文字列を見て、
木村庄之助と式守伊之助が相撲を取っている絵が浮かんで頭から離れません。

表意文字って不思議。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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