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ホームズ、大金を手に入れる

さて、前回「探偵たちの懐事情」(2019/02/11)で、名探偵の話だというのに顔を出していない究極の名探偵がいる。シャーロック・ホームズだ。
彼はそもそもベイカー街221Bを借りるのに、一人で借りるには不経済だからという理由で、同居人を探していた。それにかかったのがワトソンである。

ホームズは最初、私立探偵ではなく諮問探偵と紹介されていたので、顧問料というようなものをロンドン警察から受け取っていたのだろう。
彼自身贅沢はしてないようなのでそれで賄うこともできただろうが、変装用具やら化学の実験用具やらで何かと物入りだったから、金には困っていたに違いない。
しかし独立後のワトソンを陰で支えていた形跡もあったようだし……兄貴のマイクロフトから少し融通してもらっていたかな?

ホームズとカネといえば、『プライオリ学校』にこんなシーンがある。
※この事件はホルダーネス公爵の一人息子が誘拐される事件である。公爵は息子を連れてきた者に5000ポンド、犯人を捕まえたものはさらに1000ポンドの懸賞をかける。ちなみに当時の1ポンドは今の2万円~3万円くらいか。5000ポンドの懸賞金は破格だ。
さて、ホームズは首尾よく事件を解決し、事件の裏にあったホルダーネス公爵の様々な不安をも一掃する。

まずはジェレミー・ブレット主演のドラマ版(英国グラナダTV製作 控えめに言って世紀の傑作)の方のラストシーンを紹介しよう。

公爵「ありがとう、ホームズ君」
(小切手が大写しになる。数字は12000ポンド!)
ホームズ「閣下、どうも」(受け取った後、書き込まれた数字を見て)
ホームズ「いやぁ(感嘆)、これは多すぎます」
公爵「希望を取り戻してくれた礼だ」
ホームズ「あぁ……」

(翻訳:額田やえ子)※カッコ内はブログ主の追加

続いて原作のラストシーン。

(ホルダーネス家の蹄鉄を見せてもらった後に)
「ありがとうございます」と言って彼(ホームズ)はガラスを元に戻した。「僕が北部地方で見たものの中で二番目に興味あるものです。」
「それで一番は?」
彼は小切手を折りたたみ、慎重に手帳にはさんだ。「僕は貧乏人です」と彼は言って、それを愛情をこめて軽くたたき、内ポケットの奥へと押し込んだ。

(copyright 2006 coderati.)※カッコ内はブログ主の追加

このラストシーン、素晴らしい。
効果音のない、それでいてスタイリッシュな余韻を残す、ジョン・H・ワトソンの筆さばきの妙味である。(ドイル?知らんなあ、そんな奴)

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コメント

200万ドル

いいラストシーンですねぇ。

探偵話とは関係なくてすみませんが、ラストシーンの小切手というと「エリン・ブロコビッチ」を思い出します。

No title

ジェレミー・ブレットのホームズや、デヴィッド・スーシェのポアロを本当にはまり役で、あれに馴染むと他の俳優が演じるバージョンは受け付けなくなってしまいます。
最近ではベネディクト・カンバーバッチなども演じていますけどね、ホームズ。

ところで、JGさんはコロンボでは「忘れられたスター」がお好きだとおっしゃっていましたが、ポアロ(ドラマ)は何がお好きですか?

デヴィッド・スーシェの名人芸

>ポアロ(ドラマ)は何がお好きですか?

いやあ、弱ったなあ。何だろうなあ、何がいいかなあ、弱ったなあ(嬉しい

とりあえず「ポワロのクリスマス」「白昼の悪魔」「五匹の子豚」「杉の柩」「ホロー荘の殺人」「葬儀を終えて」あたりはパッと思い浮かんだけれど、他にもありそうだし、これはもう一度見直さないといかんなあ。
まったく脛に傷さんも無茶なことを言うなあ(やっぱり嬉しい

No title

 ところで スーシェもいいですが、日本人にとっては スーシェ=(故)熊倉一雄氏 では。
(コロンボ=P.フォーク=小池朝雄)

オラ、自慢だが、クリスティの仕事をした時に、熊倉さんにインタビューしたことがある。(なんの自慢だ?)

 その1年後くらいに他界されましたが・・

No title

そうですね。日本のテレビで放送する時(DVDも)は吹き替えの声優さんの印象がとても強いですね。強過ぎて、オリジナルの英語音声で聴くと違和感を覚えるくらい。
ミステリー・チャンネルのHPだったかな?(記憶が曖昧です)、スーシェが、「ポアロは多くの国で放送されていますが、日本の吹き替えはなかでも特に優れていると思います」といったコメントを寄せていました。(ひょっとして、インタビュアーはハルビンさん?)
これを読んで、「スーシェは日本語を理解できないはずなのに、吹き替えの良さはプロだから声の調子でわかるのかなぁ?」と疑問に思いました。
それにしてもハルビンさんはいろんな方にインタビューされているのですね。チョムスキーはおっかなかったですか?下手な質問をしたら怒られそうな印象があります。本庶先生みたいにw

No title

>チョムスキーはおっかなかったですか?

 もう20年くらい前なので記憶が曖昧ですが・・
 すごい乱雑な研究室で部屋中に書類、論文が散らばっていました。
 「全部の書類の場所がわかっているので、絶対に書類に触らないでください」と言われた・・

 一夜漬けで スティーブン・ピンカーの書いた「言語を生み出す本能」を読んで行ったことを覚えています。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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