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「効果音のない」恐怖の2分間~1974年W杯決勝

サッカーよりも野球の方が好きなのですが、何か書こうとすると不思議にサッカーのことの方が頭の中に浮かびます。
先月「読点一つ打たないラストシーン~『見えない人』(G・K・チェスタトン)」(2019/01/22)という記事を書いたときに、「効果音のない」小説や映画の話をしましたが、今回は「効果音のない」サッカーのプレイシーンについて。

ずいぶん古い話ですよ。1974年、西ドイツ(現ドイツ)で開催された第10回Wカップ決勝、西ドイツ対オランダ。
少しおさらいしておきますと、この大会はサッカーの歴史において画期的な大会だったようです。
何しろリアルタイムではまったく見ていないので(当たり前だ)、このあたりの話は全てまた聞きです。

何が画期的だったのかといえば、この時のオランダのサッカースタイルが、「トータルフットボール」という全員守備全員攻撃という新しいスタイルだったんですな。今では別に普通となった戦術ですが(「普通」といっても、この戦術を成し遂げられたチームはまだいない、そうな)、この時は世界がオランダのサッカーに瞠目した。
このオランダを率いていたのが、“フライング・ダッチマン”ことヨハン・クライフ。サッカー界の革命家。

この革命サッカーに対して“皇帝”ベッケンバウアーが率いる西ドイツはいかに戦うのか。
この決勝戦をかつてテレビで観ましたが、異様な試合でした。

まずオランダのキックオフで試合は始まる。細かいパスでボールを回すオランダ。西ドイツの選手が取りに行くと、さっさとボールを味方にパスしてしまう。
そのパスの輪がゆっくりとゆっくりと西ドイツのゴール前にと迫る。世界最高峰のサッカーチームである西ドイツが、10人で回すボールを奪えずにジリジリとラインを下げていく。

このシーンはある意味怖い。今までのサッカーの常識が崩れていく怖さだ。
この時、勿論7万人を超えるスタジアムの観客は大歓声を上げている。しかし俺にはその声は全く聞こえない。アナウンサーの声も聞こえない。

結果的にオランダはキックオフから2分間、一度もボールを奪われることなく、西ドイツのペナルティーエリアに侵入。
我慢できなくなった西ドイツディフェンダーの反則を誘ってPKで先制点をとる。

この2分間は俺にとって、「効果音のない」恐怖の2分間だった。


※ちなみにこの後、西ドイツは逆転して優勝する。いかに恐ろしい相手と対峙しても、勝つためにできることを徹底する。
それがベッケンバウアーの凄味であり、西ドイツサッカーの神髄なのだろう。

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Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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