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ビールと文学界

最近、村上春樹の古いエッセイを寝しなに読んでいる。
ここのところは『村上朝日堂』(新潮文庫)。30年以上の前の本だ。
この中で村上春樹が、

函館から札幌に向かう特急の食堂車で、一人でビールを飲みながら遅めの朝食をとっております。

と書いている。朝からビールかよ。まあ、若い頃の彼はビール党の人間だから、これは仕方ないか。
しかし続いてこんなことも書いている。

隣りのおじさんはカレーライスを食べながらビールを飲んでいる。

おい、朝からビールが二人かよ。
俺は酒は好きだがさほど強い方ではない。だいたい量を過ぎるとゴロゴロするばかりで一日使えなくなってしまうので、朝から飲むなんてことはない。
夏の昼下がりにビールを飲むのが精一杯だ。

ところが村上春樹氏のように、朝からビールなど何でもない、むしろいい景気づけ、みたいな人もいる。
文芸界にはそのような人が多いらしく、以前の会社の先輩からこんな話を聞いた。
その先輩は大学時代に文芸のサークルに在籍しており、その縁で秋山駿氏と縁ができた(まだ『信長』が売れる前の秋山駿)。
ある日誘われて、昼頃に秋山氏の家を訪ねていくと、「喉が渇いたね」と言ってビールを出された。二人してそれをごくごく飲んでいると、「じゃあ、日も陰ってきたから酒でも飲もうか」といって日本酒を出してきたそうな。
ビールは酒じゃないんだね。

村上春樹とビールで、丸谷才一のことを思い出した。
村上氏がデビュー作で群像新人文学賞を取ったときの、選考委員の一人が丸谷才一だったような気がする。(調べる気力もない)
そうじゃなくても丸谷の春樹びいきはなかなかのものだ。かの国民作家がノーベル賞を獲った暁には祝辞をよまなくちゃいけない、なんて周りに脅かされて、毎年毎年用意準備しているから、毎年毎年うまくなっていくよ、なんて書いてたな。
さて、その丸谷はエッセイ『猫のつもりが虎』(マガジンハウス)の中で、料理屋の酒についてこんなふうに書いている。

ところが、清酒の銘柄はあれだけ一方的かつ独断的に店の都合で決めるのに、ビールとなると、何がいいかとうるさく訊ねる。あれは不思議だなあ。ビールなんて一杯か二杯、水の代わりに飲むだけだもの、何だっていいぢゃないか(とわたしは思ふ)。

そうか、やっぱりビールは酒じゃなさそうだ。
ちなみに俺もビールの銘柄は何でもいい。でも選べるなら、そうだな……やっぱり何でもいいや。

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コメント

ビールと日本酒

確かに、ちょっと古めの居酒屋に行くと、日本酒は1種類(菊正宗とか、白鷹とか、剣菱とか、クラシックなもの)である一方、ビールは数種類置いている所が多いですね。生は1種類で、瓶を生と違うメーカーの物を1、2種類置いているというパターンが多いように思います。

大変に浅い推論ではありますが、営業力(姿勢)の違いではないかと。優良な老舗酒造会社は、酒造りには努力を怠らない一方、営業はそこまで熱心ではない、でもビールメーカーはシェア争いで必死に営業する。その結果、義理堅い店主は、馴染みのメーカーを切れないけど、瓶ビールは別のを入れる、ということが起きる。生は種類を増やすとサーバーも増やさないといけないから1種類なのでしょう。

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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