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なんで人間は人間を殺してはいけないの?

我が国においては8月という月は他の月に比べ生者と死者の距離がぐっと縮まる時期でもある。
そんなわけで今回は死について考えてみよう。(おおっ大胆且つ真面目
しかもよくちょっとこしゃまくれた子どもがする質問「なんで人間は人間を殺してはいけないの?」を題材にしてみよう。

というのも、この質問は俺が小さい頃にもあったし、そしてそんな昔から大人を困らせることができる鉄板の質問だったからだ。
この質問に対しての答えはいくつもあり、それぞれ大人が一生懸命になって答える。なぜ一生懸命なのかと言えば難問であるからであり、また日頃そんなことを強く自覚することなく過ごしている証拠を突き立てられた気がする分、ちょっと攻撃的な口調になる大人もいる。

子どもというのはいつの時代でも困った大人というのが大好きである。だからこういう時ぐらいは、しっかり困ってあげるというのが大人としての嗜みではないかと俺は思う。

さて俺には俺なりの答えがある。それは「法律で決まっているから」。
おや?違法精神フルスロットルのお前がそんなこと言うか、などと口さがない常連の茶々が聞こえてくるが、まあこれが偽らざるところ。

人間はどんなことでもする。それは「やってみたい」からやるのではなく、「不可能」でないからだ。だから理不尽なことも不条理なこともやってみるし、自分にとってまったく利益にならないことでもやる。というか不利益でしかないことだってやる。
できないのは「不可能」なことだけだ。(無論不可能なことだって、とりあえずやってみる。それで多くの人間が命を落としても「俺なら出来るのでは?」というどうしようもない楽観によって命を粗末にしてきたのが、人間の歴史の一側面でもある)

殺人だって今まで山ほどやってきたし、これからもたくさん殺して殺されるだろう。

子供「じゃあ法律で禁止されてなかったら殺してもいいんですか」
大人「はい、いいですよ」
子供「え?」
大人「え?」


法律で殺人が禁止されていない尤も有名なケースは、戦争であろう。この場合は敵兵に対して引き金を引かなければ逆に犯罪になってしまう。
ところで自衛隊法に軍法としての性格というか機能はあるのだろうか、と思い立ったが、これは後で調べてみよう。

宗教的な理由で「人は人を殺してはいけない」という思想を語る方もいるだろう。そうした人は宗教者の立場から戦争に反対していることが多い。
とはいえ過去の宗教戦争で死者が出なかったことは稀だろうから(あるのかな、そんな宗教戦争)、そうした過去がまっとうな宗教者に苦しみを与えるのは、いかにも受難者の縮図っぽくて興味深い。

死刑も同じように「禁止されていない殺人」にあたるだろう。尤もこれは刑務官が「やーめた」と言ってほっぽり出したところで裁判にかけられるわけでも、後ろからこっそり撃たれるわけでもないから、まあその点は少し気が楽か。
それに床下が抜けるボタンを押すのが好き、という人もいるかもしれない。

松本死刑囚を含めサリン事件首謀者の死刑が相次いで執行された。死刑に関する国民の是非は圧倒的多数で「死刑賛成」である。これはこれで納得できる。また多くの先進諸国が「死刑制度廃止」の提言・勧告をしていることも、同じくらい納得ができる。

生きること、死ぬこと、生きている者、死んでしまった者。
それらを考える意味で8月はまたとない季節である。

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コメント

No title

私は 船戸与一さん(※)の「国家と犯罪」の解釈が一番理にかなっていると思っています。(この解釈ももちろん船戸さんのオリジナルではなく 有名な解釈なんでしょう)

 簡単に言えば「人をkoroす権限は 国家(権力者でもいい)の独占的な権利だから その超重要な権利を犯す奴は許さない」というもの。(違っていたら修正してください)

 この論だと、戦争も死刑もすんなり理解できます。

※つまり 人を殺すのは自由だけど 勝手にやると権力者から報復を受ける、ってこと。

※人を殺す権限と力(武力)を他から奪って結集したものが「権力」ということも言える。


※船戸与一(故人)・・・ミステリ作家。少数民族をモチーフにしたミステリで有名。クルド民族問題を描いた「砂のクロニクル」など。

8月の永い日

>なんで人間は人間を殺してはいけないの?

「自分は殺されるのが嫌だから」
が自分の答えかな。

私はジャーナルさんとほとんど同じ答えです。「そのように取り決めたから」

この答えは、殺人や窃盗のような自然犯(反道義的・反社会的であるとして、どの時代や社会でも禁圧すべきとされてきた犯罪)よりも、スピード違反のような法定犯(反道義的・反社会的であるとまで言えないが、取締の必要から法定された犯罪)の方によりよく妥当する説明法だとは思いますが、子どもから問われたら、私は自然犯についてもそう答えます。

ただ、さらに掘り下げると、「どうしてそのように取り決めたの?」という問いが出てきます。
このレベルでは、考え方は各人各様であり、どの理由も正しいのだと思います(理由は様々でも、「殺人は刑罰をもって禁ずべし」との結論には皆が賛同したので、立法がされた)。ハルビンカフェさんのように、刑罰権を国家に集中させて、私刑・自力救済としての殺人を禁ずるとの理由もあるだろうし、白鳥座さんのような誰もが持つであろう素朴な感覚も大きな理由だと思います(この素朴な感覚こそが、自然犯を自然犯たらしめている)。

余談ですが、法は、(少なくとも日本では)全国民の代表である立法府が立法したものであり、国民がそれに拘束される一応の根拠がありますが、校則はどうでしょうか。
学校が校則を定め、「その校則の存在を知りながら入学した」という建て前のもと、契約と同様の論理(当事者が合意した内容に従って、当事者は拘束される)が妥当しているのかしら。

No title

次々に考えさせられる話題提供をしていただき、ありがとうございます。
ついに話題はここまで来たんですね。皆さまの究極のご意見は、非常に参考になります。

私もちょっとだけ。
私は、普段から「世の中に絶対的な正義なんて一つだってない」と思っています。究極的には、すべて「自分にとって好都合か不都合か」だけ、この判断だけで生きているのです。ただ、ここでの「自分」の範囲は、その人(の都合)によって異なります。文字通りの「自分」からはじまり、子供、家族、親戚、自国民、人類皆、哺乳類、サル・・・バクテリア。(さすがにバクテリアを「自分」として、こちら側に置く人はいないかなw)
だから、ルールがあろうとなかろうと、ヤッタ側にも自分の都合があるんだろうし、それを死刑にするなら、死刑する側にも自分の都合があるのだと思います。そして、この「都合」というのを、私は「善悪」というよりは「好き嫌い」として捉えています。だから、なんでも「好き嫌い」で判断すればいいのでは。

「なぜ人を殺してはダメなの?」⇒「あなたが本当に好きならヤレばいいんじゃないの。捕まっちゃうかもしれないけど、本当に好きなんだから仕方ないよね」

「じゃあ、あなたの子供がひどい事件に巻き込まれてもそれでいいの?」
⇒「誰かの都合で起こったことだからなぁ。でもこっちにだってこっちの都合があるから・・・覚悟しとけよ」(あっ、やっぱり怒ってるし、自分の都合で)

意味不明かもしれませんが、この場なら許してくれそうな気がして、ついつい・・・

>私は、普段から「世の中に絶対的な正義なんて一つだってない」と思っています。

私も同じです。

高校時代に国語の授業で使った本の中に、「歴史は、正義の名の下になされなかった悪を知らない」(悪はいつも正義の仮面をかぶっている)といった風なことが書かれていて、なぜか心に残っています。

船戸与一といえば

「山猫の夏」「猛き箱舟」が青春の書。

過去の歴史には興味がない人間なのですが、NHKのノモンハン事件の回顧番組を見てしまった。

恐ろしい。何が恐ろしいって、関東軍や参謀本部の無責任体質が、私の心の中にもいきづいていると思うから。自分が当時にあの場に置かれたとして、合理的判断ができたかどうか自信がない。
(現代も絶えることのない企業不祥事の中にも、ノモンハン事件と構造が似ているものが少なくない)

私は「俺はあんな愚かな判断はしない」とは言い切れない恐怖を感じたので、その前に、そのような判断に追い込まれる情況に身を置かないことが大事と感じた夜でありました。

(スレッドの題材とズレてしまいました。無責任発言、ご容赦ください)

えー私もそれ見ました。といっても見かけたレベルで、その…死体というか屍の映像が目に飛び込んできて、余りのショックに見続けることが出来ませんでした。
日本のテレビは本物の映像は流さないことがほとんどと思い込んでいたので…。
甚大な災害の救助や報道に携わる人たちが、精神のバランスを崩す事例があることが、頭を過りました。

8月の終わりが近づいて

ベストセラーになったのでご存知の方も多いと思いますが、「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(加藤陽子著)という本があります。
東大文学部で日露戦争から太平洋戦争を講義している加藤先生が、栄光学園歴史研究部の生徒さんたちに近代の戦争をめぐる日本の歴史をレクチャーしていて、中高生にも読みやすく面白いです。所々ですが、うちの子と読んで話し合ったこともあります。
この本ではノモンハン事件は扱われていないのですが、当時の各国の思惑や、当時の日本人がいかに戦争という政策を支持することに至ったかが述べられています。
時々、自戒を込めて読み返しています。
※栄光学園恐るべし!

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ジャーナル・ギャップ

Author:ジャーナル・ギャップ
酒と野球とミステリーをこよなく愛するが、なんの因果か中学受験についていろいろ書いていくことに。

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